💡 素人でもできる!ひらめき自作カーセキュリティ 第三回:多重防御システムとトリガー増設

【DIY】ホームセーフティ実践

はじめに:なぜトリガーを増やす必要があるの?

これまでの装置は、「エンジンがかかったとき」だけを異常として検知していました。しかし、盗難の手口はエンジンをかける前、つまり車に触れたり、ドアをこじ開けたりする段階から始まっています。

例えば…

  • 窃盗犯が車体を揺らしてセンサーをチェックする。
  • ドアロックをこじ開けて侵入する。

これらの行為を検知できなければ、エンジンがかかるまで何も起こらず、犯人に作業時間を与えてしまいます。

「多重防御」 とは、愛車をさまざまな角度から見張る複数のセンサー(トリガー)を設置し、どれか一つでも異常を検知すれば、即座に警報を鳴らすことです。

今回の目標とする動作:

  1. 車体が揺れる(振動センサーが検知)。
  2. ドアが開く(ドアスイッチが検知)。
  3. エンジンが始動する(前回までの仕組み)。
  4. どれか一つでも異常があれば、即座にサイレンが鳴り始める!

この多重防御を実現するために、前回までの自己保持回路の 「トリガー入力」の部分 を改良します。

🛠️ 新しく追加する電子部品

前回までの部品(自己保持回路、タイマーリレーなど)はそのまま使い、今回は新しい監視の目となるセンサーを追加します。

新しい部品名役割(車の部品に例えると)なぜ必要か
1. 振動センサー揺れ感知(振動を電気に変える耳)車体への衝撃や揺れを検知し、電気信号(トリガー)を出すセンサー。感度調整ができるものが望ましいです。
2. ドア開閉センサードア開閉感知(ドアの番人)ドアが正規に閉まっているか、開いたかを検知するスイッチ。車の既存のドアスイッチの配線を利用するのが最も簡単です。
3. ダイオード電気の逆流防止(一方通行の関所)電気を一方向にしか流さない部品。複数のトリガーを繋ぐ際に、電気がお互いのセンサー回路へ逆流して誤作動するのを防ぐ必須部品です。

💡 ダイオードの働きが重要!

ダイオードは、今回の多重防御システムの心臓部です。

複数のトリガー(振動、ドア、エンジン)を一つにまとめる際、もしダイオードがないと、例えば「振動センサー」がONになった電気が、エンジンOFFの信号ラインに逆流してしまい、車側の電子機器を損傷させたり、誤作動を引き起こしたりする可能性があります。

ダイオードをそれぞれのトリガーの直後に配置することで、電気が 「トリガー → 自己保持回路」という一方向にだけ 流れるようになり、安全に複数の信号をまとめることができます。


⚡ 複数のトリガーをまとめる仕組み(絵で解説!)

今回の核となるのは、「並列接続(パラレル接続)」という考え方です。

1. 並列接続とは?

並列接続とは、複数の道(トリガー)が、最終的に一本の太い道(自己保持回路のトリガー入力)に合流する接続方法です。

例えるなら、複数の川の流れが、最後はダム(自己保持回路)に注ぎ込むようなものです。

  • 川(トリガー): 振動センサー、ドアスイッチ、エンジンON信号
  • 関所(ダイオード): 電気の逆流を防ぎます。
  • ダム(リレー1のコイル): どれか一つの川から水(電気)が流れ込んでも、リレーが作動します。

2. 回路図の進化:トリガーの増設

前回までの回路図の「リレー1(自己保持)のコイル」への入力ラインに、新しいセンサーたちを並列に繋ぎます。


🔌 新しいトリガーを車から見つけ出す!

多重防御システムの効果を最大限に高めるために、振動センサー以外の2つのトリガーをどこから取り出すかを見てみましょう。

💡 トリガー 1:ドア開閉センサーの活用

車には必ず、ドアが開いたときにルームランプを点灯させるためのドアスイッチの配線があります。

  • 信号の状態: ドアが開いたときに電気が流れる(または電気が止まる)信号を探します。多くの車では、ドアが開くと配線がアース(マイナス)と繋がる(マイナス信号)仕組みになっています。
  • 配線の見つけ方: ルームランプの配線、またはヒューズボックス内のドア関連のヒューズから探します。
  • 接続方法: もし探した信号がマイナス信号(ドアが開くとマイナスになる)の場合、その信号線をダイオードを介してリレー1のコイルのマイナス側に繋ぎます。
    • ※この場合、リレー1のコイルのプラス側は常に電源に接続されている必要があります。

💡 トリガー 2:振動センサーの取り付け

振動センサーは、多くの場合、センサー自体に電源(プラスとマイナス)を供給し、振動を検知したときに「出力信号(トリガー)」を出すタイプです。

  • 信号の状態: 振動を検知した瞬間だけ電気が流れる信号(プラス信号)を出力します。
  • 取り付け場所: 車体の中央付近の金属部分(フロアなど)に両面テープなどでしっかりと固定します。エンジンルーム内の水がかかりにくい場所でもOKですが、調整しやすい場所が良いでしょう。
  • 接続方法: センサーの出力信号を、ダイオードを介してリレー1のコイルのプラス側に繋ぎます。

⚠️ トリガーの極性(プラスかマイナスか)の統一

最も安全で簡単なのは、全てのトリガーがONになったときに、自己保持リレー(リレー1)のコイルの片側(プラスまたはマイナス)に信号を流すように統一することです。

推奨する接続方法(プラス信号をまとめる):

  1. リレー1のコイルのマイナス側は、 常にアース(車体) に繋いでおく。
  2. リレー1のコイルのプラス側が、全てのトリガーからの最終的な合流地点となる。
  3. エンジンON信号振動センサーの出力ドア開閉センサーのプラス信号それぞれを、ダイオードを介してこの合流地点(リレー1のコイルのプラス側)に繋ぐ。

こうすることで、どれか一つのセンサーからでも電気が流れ込めば、リレー1が作動し、サイレンが鳴り始めます。


🛠️ 組み立て手順:トリガー並列接続とダイオード

今回は、特にダイオードの向きを間違えないように注意深く作業を進めます。

ステップ 1:振動センサーとドアスイッチの設置

  1. 振動センサーの固定:振動を適切に拾える、車体の金属部分にしっかりと固定し、電源(プラス・マイナス)を接続します。
  2. ドアスイッチ配線の特定:テスター(電気の流れを測る道具)を使い、ドアが開いたときに電気が流れる(または止まる)配線を特定し、安全な場所から分岐コードを取り出します。

ステップ 2:ダイオードの接続(一方通行の関所)

  • 【極性を間違えない!】 ダイオードには向きがあります。通常、ダイオードの本体にある線(帯)が入っている側が、電気が出ていく方(マイナス側)です。
  1. エンジンON信号にダイオードを付ける:信号線 → ダイオードの線がない側(プラス側) → ダイオードの線がある側(マイナス側)。
  2. 振動センサー出力にダイオードを付ける:信号線 → ダイオードの線がない側 → ダイオードの線がある側
  3. ドア開閉信号にダイオードを付ける:信号線 → ダイオードの線がない側 → ダイオードの線がある側

ステップ 3:トリガーの合流(自己保持回路への入力)

  1. 合流地点の作成:ステップ2でダイオードの線がある側(マイナス側)から出ている3本のコードを、一本にまとめて接続します。(ハンダ付けまたは専用の接続端子で確実に接続)
  2. リレー1に接続:この一本にまとめたコードを、リレー1(自己保持)のコイルのプラス側に繋ぎます。
    • ※リレー1のコイルのマイナス側は、前回までの通りアースに繋がっていることを確認してください。

これで、多重防御システムが完成です!「エンジンON」「ドア開閉」「振動」のどれか一つでも異常が発生すれば、その信号はダイオードを介してリレー1を作動させ、サイレンが鳴り始めます。


✅ 動作テストと確認(最終確認)

いよいよ最終テストです。全てのセンサーが正常に動作し、正しく自己保持・タイマー機能に繋がっているかを確認します。

1. 警戒状態へ

  • 主電源スイッチをONにします。(タイマーリレーもスタンバイ状態)
  • オーナーの解除スイッチは押さない状態(常時ON状態)にしておきます。

2. トリガーの個別テスト

  1. 振動テスト:車体を軽く叩くか、揺らします。
    • サイレンが鳴り響くことを確認!
    • → タイマーで自動停止することを確認!
  2. ドア開閉テスト:ドアを開けます。(キーが抜けている状態)
    • サイレンが鳴り響くことを確認!
    • → タイマーで自動停止することを確認!
  3. エンジン始動テスト:キーを回し、エンジンを始動させます。
    • サイレンが鳴り響くことを確認!
    • → タイマーで自動停止することを確認!

3. 手動解除の確認(いつでも最優先)

  • どのテスト中であっても、秘密の解除スイッチを押すことで、即座にサイレンが鳴り止むことを確認します。

🌟 最終まとめ:DIYカーセキュリティの完成!

3回にわたる自作ブログ、本当にお疲れ様でした!

あなたは今回、電子工作の専門知識やハンダごてを使うことなく、以下の機能を持った本格的なカーセキュリティシステムを、あなたのひらめきリレーだけで作り上げました。

  1. トリガーの多重化: エンジン始動、ドア開閉、振動の多角的な監視
  2. 自己保持機能: 一度鳴り始めたら鳴り止まない
  3. タイマー自動停止: 設定時間で自動停止し、バッテリーを守る。
  4. 手動解除: オーナーによる即時解除が可能。

この知識と経験があれば、今後さらに超音波センサーや 電圧降下検知(バッテリーを外されたら鳴る) など、どんな高度な機能でも組み込むことができるでしょう。

愛車を守る最高のセキュリティは、あなた自身の手で、あなただけのひらめきで組み上げられたシステムです。この達成感を、ぜひ愛車とともにお楽しみください!

安全なカーライフを!🎉

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